2019/06/09
音の正確さよりモチベーションの維持が大事だと思います。wararyoです。
DTMerを初めていくらか経つと、とりあえず欲しくなるのがスピーカーだと思います。
そこで「DTM スピーカー」で検索すると、
「DTMするならモニタースピーカー!おすすめはYAMAHA MSP3!」などと書いてあるのが多いことがわかります。
(別にMSP3をオススメしてる訳ではないのでクリックしなくていいです)
確かにミックスをするならモニタースピーカーがあるといいんでしょう。原音に近い音を聴ける環境があるとないとでは大違いです。
ただ…駆け出しDTMerにそれをオススメするのはどうなんでしょうか?
今からDTMを始めようという人は、モニタースピーカーではなく、普段使いもできるリスニング用スピーカーを導入するべきだと思うんです。
これからその理由をいくつか述べていきます。
目次
前提
その前に、初心者DTMerがモニタースピーカーを使うときの前提を考えておきます。
- モニタースピーカーはDTMする時だけ使い、リスニングの時には使わない
- 他にまともなスピーカーは持ってない
- モニタースピーカーでは「気持ちのいい」音は出ない
sponsored link
単純にもったいない
DTMだとかモニターだとかは一旦抜きにして、
特定の時にしか使えないスピーカーって、もったいないと思いませんか。
いや勿体無いならDTMしないときも使えばいいじゃんって思うかもしれませんが、モニタースピーカーから出る音にユーザーが「気持ち良さ」を感じられないなら、普段はお気に入りのイヤホンとかを使ってしまうでしょう。意識してモニタースピーカーを使おうとするくらいなら最初からリスニング用スピーカー買っちゃった方が幸せになれます。
自宅でモニター環境の構築はできない
スピーカーを使って、自宅でモニター環境を作るのは無理です。
自宅とスタジオは違います。
ミックスを行うスタジオが頑丈な壁、徹底された吸音、そしてこだわり抜かれた音響を持ってるのに対し、あなたの部屋はそれに遠く及ばないものです。スピーカーが良くても部屋の音響がダメだったらモニター環境は構築できません。
フツーの部屋で音を出した場合、例えばその音は部屋に反響して天然のリバーブがかかってしまいます。例えば低音が干渉してバランスが崩れたりします。
めちゃめちゃお金をかければ別ですが、一般的におうちでモニターできる環境を作りたかったらモニターヘッドホンしかないと思ってください。
干渉の確認はリスニング用でもできる
DTMerがモニタースピーカーを使うべき理由として、「ヘッドホンと違って、左右の音波の干渉が確認できる」というのが挙げられています。
しかし、それ別にモニタースピーカーじゃなくてもできますよね。
偶然にもそのスピーカーでは出ない/弱い帯域で干渉しちゃう可能性を考えればフラットな音のスピーカーの方がいいのかもしれませんが、それは趣味DTMerでもモニタースピーカーを使うべき理由としてはそこまで強くないでしょう。
余計に音が歪む
正しい音が出るはずのモニタースピーカーで初心者がミックス/マスタリングをすると、余計に音が歪むとはどういうことでしょうか。
これは普段からモニタースピーカーを使っていないことが招く悲劇です。
低音大好きDTMerの例え話
とある所に低音大好きな駆け出しDTMerが居たとします。彼はBOSEのヘッドホンを使っており、さらにイコライザーで低音マシマシにしています。
DTMを始めるにあたってモニタースピーカーを導入しました。
そのスピーカーは彼からしたら、低音がかなり痩せた音です。でもそれが「フラット」であり、「原音」により近い音です。
彼はそのモニタースピーカーで見よう見まねでミックスします。するとどうでしょう、いつもの低音を求めて低音モリモリミックスをしてしまったではありませんか!!
このように、DTMする時にしか使わないリスニング環境があった場合、そのリスニング環境で、いつも自分が聴いてる自分の好きなサウンドを目指して歪んだミックスをしてしまう可能性があると思いませんか。リファレンスをもってミックスするのはいいことじゃんって思うかもしれないけどそうじゃないんです。普段聴いてるリスニング環境の音を、(普段使わない)フラットなDTM環境で再現しちゃおうとすることが問題なんです。
「そういうことなら低音モリモリにならないように気をつけながらミックスすればいいだけだろ」っていう意見もあるかもしれませんが、そこで次の問題が生じます。
モチベーション維持の問題
ぶっちゃけこれを言いたいがために前2つの理由を後付けしました
モチベーションの問題です。
DTM初期はショボい音しか出せなくて辛いです。自分の好きなアーティストの脳汁サウンドなんてのはそう簡単に再現できるもんじゃありません。
それでも偶然にもいい感じの音が作れる瞬間は存在します。
その偶然出来たいい感じのサウンド、「フラット」なモニター環境と、普段の曲聴きにも使うお気に入りのリスニング環境、どっちで聴いた方が気持ちよく感じれるでしょうか?
もちろん、お気に入りのリスニング環境で聴いた方が脳汁を感じられますよね。
そうしたちょっとした「偶然できた良いサウンド」をしっかり逃さず、自分で気持ちいいと思えること、これは確実にモチベーションに繋がります。
そしてモチベーションを感じていくことで、DTMを挫折せずに続けていくことができます。
DTMerにとって、正しいミックスをすることと、DTMを続けること、どっちが大事でしょうか?答えは明白です。
もちろんいろんなリスニング環境を用意できるなら、フラットな音が出る環境も用意するべきです。
でもそれはお金が無限にあればの話です。DTMに投資できるお金が限られている初心者DTMerにモニタースピーカーを買わせるのは若干、酷な気がします。
モニターヘッドホンは買うべきだと思います。15,000円程度の出費で済みますし。
趣味でDTMをする人にとって大事なのは、DTMをできるだけ楽しくできることです。良い曲が作れればなお良し。
最後に、これだけは告白しておきます。僕はモニタースピーカーを持っていません。普段はリスニング用スピーカーとモニターヘッドホンで作業してます。
なので、この意見は若干偏りがある可能性があります。使わないとわからないモニタースピーカーの魅力があるのかもしれません。
あなたはどう思うでしょうか。
コメント
好きなスピーカーで目標とするアーティストの曲が
心地良く聞こえる環境にして、それに近付ければ良いですね
モニターも色々でJBLのLSRとか安くて気持ち良い音なので
色々聴いてみるのは良いと思います
リスニング用かモニターかより、低音が出てるか出てないかの方が重要だと思います
スピーカーから低音が出てないことにはモニターのしようが無くてヘッドホンを使うしか無いので
ヘッドホンで聴いたら良いけどスピーカーだと低音めちゃくちゃってことあります
サブウーファーを使うのも手です
モニター基準で設計されたスピーカーの方が低音のQとか
サブウーファーと繋がりやすいってのはあります
自宅でモニター環境はSonarworks使ってるようなので
フラットってのはこういうことか~ってのはわかると思います
プロの音源とかは結構大きめの音で聞いたときフラットで丁度良く聴こえるものが多いので
普段聞く音量で目標のアーティストの曲が心地良く程度ブーストした特性を
基準値にした方が良いでしょう
あまり大きな音でずっと作業してると疲れるし、耳を痛めますしね
reira 2019-03-06 11:17
コメントありがとうございます。
この記事は「モニタースピーカーでは「気持ちのいい」音は出ない」という前提で書いていますが、最近はそもそもその前提が間違っていると感じつつあります。
reiraさんのおっしゃる通り、最近はSonarworksを導入して、フラットな音の良さを実感しつつあります。
小音量でも正しく作業ができるように、リスニング環境にプロの音を気持ちよく聴けるような味付けをするという考えは新しく感じました。
貴重な意見をありがとうございます。参考にします。
wararyo 2019-03-13 22:35
コメントしたお二方はある意味で正論を行ってるとは思いますが、wararyoさんの言ってる意図が伝わってないように思えるのと、自分の意見を押し付けたい感じもします。
この記事でもう少し付け加えた方が良い点としては、リスニングスピーカー、という広すぎる曖昧なものではなく、ある程度汎用性のあるリファレンス環境を指定してあげることかと思います。
例えば極論ですが、iphoneを使うユーザーや、iphone付属のイヤフォンを使う人は一定数いるわけです。
そういう点では、imacの内蔵スピーカーや、iphoneの内蔵スピーカーで問題なく聞こえるようにしてみる、というのも1つの考えかと思います。もちろん、その環境でない人にとってはあれですが、それ言い出したら人間の数だけあるのでキリがないです。
基本的にリスニング環境というのは、人それぞれです。
音圧をあげても、結局はその人がボリュームを下げて聞けばこちらが意図した音圧で聞いてもらえませんし、多段にその割合と確率なだけです。もちろん、それは難しく、自分の好きなようにやるだけですが。
考えは人それぞれなので、言い切ると反発を食らうのでしょうね。
でも、wararyoさんが言ってることはとてもわかります。効果を本当の意味で理解できないならレビューみて買って自己満足で使ってるのと同義だからです。ミックスが上手くなったとかやりやすくなった、とか言ってる人の曲を聞いてクソみたいな内容なんて日常茶飯事です。上のお二方もそれで別に自分たちのスキルを証明出来る訳でもないですし。
私はwararyoさんが作られた曲を少し聞いて見ましたが、こういう文章を書いてこのサウンドなら説得力あると思います。
自分の考えを貫いて良いと思います。ただ、素人はただ遊びたいだけの人と、形から入る人がいるので、後者にとっては熟練した人からの一方的なアドバイスとも取れますね。ちなみに私も今ではそう思いますが、初心者の時はそう思わなかったので。
匿名 2018-12-17 13:37
コメントありがとうございます。
この記事を書いた動機として、今のネットではDTM始めるならモニタースピーカーは必須でしょ、という考えが標準となっており反発してみたかった、というのもあります。
ただこの記事を投稿してからしばらく経ち、また前のお二方のコメントも拝見し、僕の考えも変わって来ました。
おっしゃる通り、リスニング環境はリスナーの数だけあり、どの環境に向けて音作りをするかによってミックスのやり方も多少異なります。当時は「それなら自分がいつも聴いてる環境に向けて作ればいいじゃん」と考えていたのですが、世のどの環境で聴いても無難に聞こえる環境が「リファレンス環境」なのであり、リファレンスの音は早めに知っておくべきなのではないかと考えているのが最近です。
「自分の意見を貫いて良いと思う」という意見は大変励みになります。ありがとうございます。
ただこの記事は確かに反発を招く表現が多くみられるので、また新しく、最近の考えをまとめた記事を書こうと思ってる最中です。
wararyo 2018-12-18 04:19
横からすいませんが、作業時間が短縮されるのってそりゃそうですよ。
そもそも「モニタ用スピーカー」の「モニタ」とはどういう目的があるのか?という事でしょう。
音声編集の基本原則は原音をどれだけ忠実にモニタできるか?という事で、モニタ用途SPでは余計な味付けをしない設計になってるじゃないですか。
対し、リスニング用のスピーカーは聞き心地を良くするために必ず味付けされます。昔のウォークマンなんかでとかSonyらしい音とか、Panasonicらしい音、Aiwaらしい音、Kenwoodらしい音とかありますが、ああいうのが必ずあります。メーカーの味にはファンもいるので、そうした方が売れますしね。
ちなみに、「この機材の色を付けたいので、一旦外に出してその機材を通して色を付けてから再び取り込む」という話がありますが、それは機材の特性やクセといった色付けであって、リスニング用の機材のようなその場限りの味付けとは違って波形そのものに働きかけます。
そういう色付けされた環境で音を作って仕上げても、その環境と同じような方向の色のリスニング環境であれば取り立てて問題はないのですが、まったく異なる色のリスニング環境だと、過度に下が出っ張ってたり、高音が耳障りだったり、質感がざらついてたり、他にも製作者にとって想定外の不本意な現実に直面する事もあるんですよ。
そういう特性を把握しきってるプロやある程度慣れたアマチュアならまだしも(それでも確認作業に時間を割かざるを得ませんが)、素人の場合だとそれこそあなたも記事で書いてるように理想には程遠い苦行な現実にうんざりさせられるでしょう。
従って、製作段階で下手に味を付けられず、原音に対して可能な限り忠実にモニタできるスピーカーやヘッドフォンは、力量に関係なく必要なんですよ。
お金がないなら話は別なんですけどね。
素材の味をちゃんと分かっててコントロールできるコックさんの料理を食べたいでしょ?
そういうコックさんになるには、やはり素材の味がわかる舌も鍛えないとでしょうし。
音楽もそうでは?
「駆け出しDTMerはモニタースピーカーを使わない方がいい説」へのコメント
(。-`ω-) 2018-05-19 18:05
>駆け出しDTMerはモニタースピーカーを使わない方がいい説
ある程度、質のいいモニタースピーカーはリスニングでも気持ちいい音が出る(もちろん音源によるが)ので、例えDTM辞めてもリスニング用途に使えるし、高値で売却できる。モニタースピーカー導入したら、モニターヘッドホンとリスニングスピーカーでやった時より、ミキシング作業が半分~1/3くらいの時間でできるようになったよ。個人的には早めに買ってれば良かったです。
1 2018-03-04 08:36
コメントありがとうございます。
仰る通り、モニタースピーカーだから気持ちのいい音は出ないというのは極端だと最近では思っています。
モニタースピーカーにしたら「ミキシング作業が半分~1/3くらいの時間でできるようになった」とのことでとても興味があります。もしこの返信を見ていただけたなら詳しく教えてもらえないでしょうか。
wararyo 2018-03-06 09:07