2019/06/09
コレ「名前がわからないDTMの手法」ベスト5に絶対入ると思います。wararyoです。
2020/03/11
【追記】Wavesfactory “Cassette Transport”を新たに追加しました。
2022/11/30
【追記】
Kilohearts Tape Stopが無料になったことを受けて内容を変更しました。
EDMとかを聴いてるとたまに聴く、「曲の再生速度がだんだん遅くなるやつ」。
ターンテーブルでレコードを止めた時のような感じがするアレです。
あれ、一般的には「テープストップエフェクト」と言われるようです。
名前を知るだけでも一苦労だったのですが、テープストップを行うためのプラグインや手法も多数存在し、自分がどれを選ぶべきなのかわからない状態です。
そこでテープストップを実現するあらゆるプラグインや手法を実際に試して比較してみました。
こんな感じのサウンドを目指します。
目次
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結論
こだわらないならM’z TapeStopでよしだんだん早くする「テープスタート」もやりたいならCassette Transport有料のVengeance Sound Tape Stopが優秀- とりあえずKilohearts Tape Stop使っとこう!
2020年初頭にCassette Transportが登場したことにより、無料でテープストップ・テープスタートができるようになりました。
しかし音の自由度やプラグインの安定感では依然として有料プラグインのみなさんに軍配が上がると言えるでしょう。
かつては有料プラグインだったKilohearts Tape Stopが無料になったそうです。
特に理由がなければKiloheartsで問題ないという状況になりましたね!
DAWのピッチ変更機能
「DTM レコード 止める」で検索したら出てくるSleepfreaksさんの解説に従った方法です。
ターンテーブルのようなピッチ変更 Logic Pro の使い方 http://sleepfreaks-dtm.com/for-advance-logic/turntable_pitch/
ターンテーブルのようなピッチ変更 Cubase 使い方 http://sleepfreaks-dtm.com/for-advance-cubase/pitchshift-audio/
Cubaseの場合、「Audio > 処理 > ピッチシフト」から行えるようです。
実際にやってみたのがこれです。
いや〜お世辞にも良いとは言えないです。16半音までしかピッチを下げられないのがかなりしんどいです。
これはこれで使えるシチュエーションがあるのかもしれませんが、今回目指しているものとは違うようです。
Cubase以外のDAWの場合は案外使えるのかもしれませんので、ご自分でお確かめください。
LoopMash (Cubase付属)
正確にはCubaseに付属している音源「LoopMash」のエフェクト部分だけ抜き出した「LoopMash FX」というプラグインです。
これでテープストップができます。
実際にやってみたのがこれです。
特徴
- (Cubaseの場合)最初から入ってる
- テープストップ以外にも様々なエフェクトが使えて楽しい(スタッターとか)
- テープスタートもできる
- ストップするタイミングと長さが実質拍単位でしか指定できない
標準で入ってるわりにはかなり機能が豊富です。触ってるだけで楽しいです。
ただし拍単位でしかテープストップできないという最大の欠点があります。
正確に言えば最大16分音符単位で指定できるのですが、16分の設定にするとテープストップ時間も16分の長さになるという融通のきかなさ。
四分音符単位でテープストップさせてもまだ早すぎる感じで、痒いところに手が届かなすぎる感じです。
よって(テープストップ用途では)常用できません。
dblue TapeStop
GUIがないので見た目はDAWによって変わります。とてもシンプルなテープストッププラグインです。
こんな感じになります。
特徴
- フリープラグイン
- テープストップしかできない
- 任意の長さとタイミングでできる
- うまく動作しなかった
はい、僕の環境ではうまく動作しませんでした。
書き出すとおかしくなる感じです。
DAW内で再生しているときも若干おかしくなってたので、後述するM’z TapeStopの開発者さんの言う通り64bitのPCだと不安定なのかもしれません。
M’z TapeStop
dblue TapeStopが32bit版しかないことから作られたプラグインらしいです。
dblue同様、シンプルな見た目となっています。
特徴
- フリープラグイン
- テープストップしかできない
- 任意の長さとタイミングでできる
dblueのやつと異なるのは、De-clickのパラメーターがないことです。
無難にテープストップできます。音質も問題ないようです。
スピードの指定がミリ秒単位ではない所が直感的ではないです。
Wavesfactory Cassette Transport
2020年に登場した無料のプラグインです。
カセットデッキのような見た目がとてもかわいいです。
特徴
- フリープラグイン
- テープストップもテープスタートもできる
- 任意の長さとタイミングでできる
- オートメーションが書きづらい
実際に触ってみるまでは「ついに真打登場したな…」とワクワクしていました。実際に触ってみるまでは。
このプラグインにてオートメーションを記録すると、以下のようになります。
そう、PlayボタンとStopボタンが別のパラメーターになっているのです。
オートメーションを録音した後に手で編集しようと思ったら両方編集しなければいけません。作業量2倍です。
編集にミスってPlayボタンとStopボタンを両方ONにしようものなら↓のように発振状態になるので注意が必要です。
この仕様のせいか、オートメーション付きで再生するときの動作が不安定です。1/3程度の確率で発振します。
なお書き出しには特に問題ありません。書き出しガチャの必要はありません。
Wavesfactory CASSETTE TRANSPORT、
オートメーション周りがかなりイマイチかもしれん!(Cubase、macOS)
"Play"と"Stop"がそれぞれ独立したパラメーターになるからオートメーション編集の手間が2倍です
しかも再生時にボタンが「発振」する!
ちゃんとテープストップが効くかどうかは運ゲーとなります https://t.co/ReQpWFy29L pic.twitter.com/k2heQe171o— wararyo (@wararyo) March 11, 2020
「テープスタートがしたい。でも金はかけたくない!」という場合にオススメの方法です。
Wavesfactory Cassette Transportのダウンロード
kiloHearts TapeStop
ここから有料プラグイン地帯です。シンプルながらもかわいいデザインのkiloHearts TapeStopです。
こんな音になります。
特徴
有料(2000円くらい)(体験版アリ)無料になりました!- テープスタートとテープストップができる
- 任意の長さとタイミングでできる
- ストップ/スタートの速度の変化を無段階で指定できる
- Snap Heapと呼ばれるプラグインと合わせて自動化できる
中央にあるカーブの表示を上下にドラッグすると、曲線の曲がり方が変わり、再生速度の変化の仕方を細かく指定できます。
心なしか、M’z TapeStopよりも音が滑らかな気がします。
スピードをミリ秒単位で指定でき、使い勝手も良好です。
このプラグインはSnapinと呼ばれる規格にも対応していて、Snapinを複数繋げられるフリーVSTプラグインSnapHeapのなかにコレを入れれば一定間隔で、あるいはオーディオ/MIDI入力に合わせてテープストップできちゃうみたいですよ。ロマンありますね。
kiloHearts TapeStopの購入・お試し(PIB) 公式サイト
Vengeance Sound Tape Stop
これが真打です。今までのやつと比べてやたらゴツい見た目をしているVengeance Sound Tape Stopです。
こんな感じの音になります。ちなみに冒頭で貼り付けたのはコレです。
特徴
- 価格が高い(通常6000円)(体験版アリ)
- テープストップとテープスタートができる
- 任意の長さとタイミングでできる
- フィルターや音量変化も一緒にかけられる
- 再生速度の変化の仕方を細かくいじれる
- ステップシーケンサー的なのもある
高い分、やたら高機能です。これを買っておけばテープストップに関して困ることはほとんどないでしょう。
kiloHeartsと同様、速度変化のカーブを無段階で指定できます。
使い勝手も良く、テープストップ時間をミリ秒単位だけでなく、拍単位でも指定できます。
さらに実際に触ってみると分かるんですがミリ秒単位も拍単位もシームレスなので、「1拍よりもちょっとだけ早く」みたいにするのが驚くほど楽です。
速度変化と一緒にローパスフィルタも掛けることができます。
フィルターに関しては正直「いらんやろ」と思ってる方もいるのではないでしょうか。僕もそう思ってました。
しかしいざ触ってみると、「速度変化だけではあからさまにピッチが下がるからうるさい」というシチュエーションが多々あることが分かりました。
ローパスフィルタも一緒に掛ける機能、案外重宝しそうです。
ところでkiloHeartsにできてVengeanceに出来ないことを1つだけ見つけました。それは、
速度変化のカーブにオートメーションを設定すること
です。Vengeanceでは速度変化のカーブを曲中で変更することは出来ません。ご注意ください。
あ、あと大事な点として、e-Licenserが必要なので非Cubaseユーザーはさらに4000円ほどお金がかかります。
Vengeance Sound Tape Stopの購入・お試し(PIB) 公式サイト
以上、テープストップにおける5つの選択肢を比較してみました。
ちなみに僕はどうしたかというと、Vengeance Sound Tape Stopを買いました。
セールで4000円だった上、Plugin Boutiqueのポイント的なのが貯まってたので2500円で買えました。やったぜ
非Cubaseユーザーが普通にVengeance Sound Tape Stopを買うと1万円かかるので、多くのDTMerにはやっぱりkiloHearts TapeStopが最適なのかなぁという感じです。
この比較を元に、あなたにあったテープストップが見つかれば幸いです。