2019/06/09
こんな活きのいいブラス音源を今まで放置していたことを後悔しました。wararyoです。
Chris Hein Horns COMPACTというブラス音源を、去年のブラックフライデーに買って以来放置してきました。あのこおろぎさんが推してる音源の廉価版です。14,000円くらいでした。
ソフトウェア音源 「CHRIS HEIN HORNS COMPACT」 | SONICWIRE
http://sonicwire.com/product/34856
先日、ブラスを含んだ曲を作る機会があったので、ブラスの音玉の配置ですとか、この音源の弄り方とかちょっと勉強しました。
今回はこのChris Hein Horns COMPACTでポップなブラスを作るにあたって分かったことを、実際にブラスセクションを作った過程を振り返りながら書いていきます。
sponsored link
今回つくった曲
まず、この記事で最終的にできるブラスを聴いていただきましょう(わかりやすさのために若干ブラスを大きくしています)。
ちなみにブラスをKONTAKT Factory Libraryに置き換えたらこうなります。
ChrisHeinの方が、生音感が、すごいですね!
正直KONTAKT Factory Libraryのブラスよりも手間かけないとまともな音にならないんですが、手間をかける価値がある音だと感じます。
使う音色(おんしょく)
今回はトランペット3本、トロンボーン1本の編成でいってみます。
この曲ではすでにKontaktを使っていたのですが、ブラス用のKontaktを別に追加しています。
4つの音色はパラアウトするよう設定してあります。Kontaktでパラアウトをする方法についてはひと手間かかるので別途検索してください。
一番高音がキレイに出るトランペットを、実際の音を聴いて確かめます。そして高音を担当する楽器から低音の順で出力1から4に割り当てます。
この時点でパン振りもしておきます。高い音を担当する楽器を左に、低い音になるにつれ中央になるように配置してみました。
ボイシング
僕は和音を配置する際には、Cubaseのコードトラックでコード進行を作って、それをMIDIにして配置するようにしています。
音楽理論できない人はCubaseを使おう!コード支援機能が神! | wararyo SoundWorks
https://wararyo.com/2017/05/cubase-chord/
コードトラックからトランペット1に配置してオクターブ上げて長さを調整しただけのブラスはこんな感じです。
…なんか人工的で、汚いですね。
音が汚くなってしまう原因の一つとして、「ボイシング」があります。
コードの最高音と最低音が1オクターブ以内に収まっていることを「クローズ ド・ボイシング」、
1オクターブ以上離れていることを「オープン・ボイシング」と言います。
どうもポップスのブラスではオープンボイシング、すなわちある程度音玉同士を離してあげる方がいいようです。
(…と、いいつつも、ネットで調べると必ずしもそうでもないようで、クローズドボイシングで気にならないようであればそのままで構わないかと思います)
あと、7度の音などのテンションは適宜外してあげた方がスッキリ聴こえるように感じました。今回は4つパートがあるので、4つのうち2つは同じ音がオクターブで鳴っている状態ということになります。
これを直してみた音を聴いてみましょう。
濁りが取れて、すっきりした気がします。といいつつも、今聴いたらまだ濁ってる感じがしますね。テンションはまじで全部取っていいのかも。
パート分け
すっきりはしましたが、まだ人工的な音です。というのも、すべての音をトランペット2に演奏させており、トランペット1,3、トロンボーンはまだ全然使ってません。
これらのパートに音を割り振ってあげましょう。
実際の音がこれです
だいぶ良くなりましたよね??かなり人間的になってきました。
強弱をつける
さらに人間的にするために必要なのが、みなさんご存知ベロシティ調整です。
しかし、今回のようなロングトーンの場合、鳴ってる途中で音量を変化させたいですよね。
そこで、エクスプレッションを使います。
エクスプレッションと呼ばれるMIDI信号を送ることで、ノートの途中で音量を変えることができます。
エクスプレッションによる強弱を使うには、音源側で設定をする必要があります。
Chris Hein Horns COMPACTの設定画面で、「Volume-Control」タブから、Velocity欄 “Velo.Key” となっているところを、
“Velo. Fade” または、 “Velo. Key & Fade” に変更します。
そしてCCの欄が11(これがエクスプレッションを示す番号です)になっていることを確認、エクスプレッションを書きます。
フォールとトリル
さらに、ポーン↓と音が下がるフォールと、パオアオアオアオ!となるトリルも入れてあげましょう。
標準設定では、フォールはピッチペンドを下げる、トリルはキースイッチD1を入れてあげることで出来ます。
ベロシティ調整とフォールを付けた音が、冒頭に張り付けたやつです。
実際の曲
この後、4つのブラスパートを1つのバスにまとめて音色(ねいろ)の調整を行った後マスタリングをした最終的な音源が以下になります。
曲全体はSoundCloudに上げています。
いかがでしたか。
Chris Hein Horns COMPACT、ポップスのバッキングで使う分には申し分ない活発な音がしますので、持ってない人はぜひ検討してみてください。
おまけ:反省
この曲をサークルの人たちに聴かせたところ、以下のような感想が返ってきました。
- 白玉(長い音符)が多い
- もっと歯切れよく行う方がいい
確かに、ただコードを鳴らしてるだけなので、ブラスの活発さのようなものは、まだまだ引き出せていない感じがしますね。
次に生かします!
コメント
こちらの商品を購入しwararyoさんの記事にたどり着きました。とても素晴らしい音源で自分もこのように打ち込めるようになりたいのですが、フォールの設定の仕方がわからずに困っています。ピッチベンドと書いてありましたが、その機能をどこでどうやってオンにして、DAW上の打ち込み画面で操作するのでしょうか?初心者の質問で大変申し訳ございませんが教えて頂けますでしょうか?DAWはprotoolsを使っています。
mizuki 2022-12-13 22:26
コメントありがとうございます。
ピッチベンドでフォールをするための下準備として、まずChris Hein Horns側の設定をご確認ください。
Settings → General Settings → Pitchbend の欄に “-2” “Doit” “Fall” といった記述があるかと思いますが、Fallの左が赤く点灯していることを確認してください。点灯していない場合はFallの左の黒丸をクリックし点灯させてください。
MIDIキーボードをお持ちの場合はこの時点でフォールを確認できます。音を鳴らしながらピッチベンドを操作するとフォールになるはずです。
MIDIキーボードをお持ちでない場合はProToolsのMIDIエディタにMIDIノートおよびピッチベンドを打ち込むことで確認します。
(私はProToolsを所有していないため、ピッチベンドの打ち込み方法についてはあまり存じ上げておりません。ご容赦ください)
そもそもピッチベンドというものは通常時が0で下は-8192、上は8191まであります。
この音源では-1より下に下げるとフォールがかかります。早い話、とにかくピッチを下げればOKです。
ただし、ピッチを下げた後にまたピッチを0に戻す必要があるので、打ち込むときはこの点にご注意ください。(ピッチベンドの値を手入力で0に戻した方が良いです)
追加でご不明点がありましたらどうぞまたご連絡ください。
wararyo 2022-12-14 01:02