2019/06/09
これはただの転調集ではありません。コード先の作曲の練習が、思う存分できる本です。wararyoです。
先日、Amazonでふと目に留まった本がありました。それが『転調テクニック 50』です。
この本が目に留まった7月12日、ちょうど転調をする曲が作りたくて悩んでた時期でした。
しかも、当時はまだ発売されておらず、正直言って新発売の作曲教則本を初めて見たのでワクワクしました。
これからこんな面白そうな本が出るのか、これは買うしかない!と、若干人柱的に注文しました。
そんな感じでノリで注文したのですが、一つ一つのコードや転調に関して丁寧に記述がなされており感動しました。
また、どんな転調があるのかを調べる以外の、面白い使い方もできることが分かりました。
そして、この本は初心者DTMer、厳密にいえば作曲初心者こそ買うべき本だと思うようになりました。
なぜそう思ったのか、この本の面白い使い方とは何なのか、記していきます。
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本の内容は比較的丁寧
この本は転調についての本ですが、理論をまとめているというよりは、どちらかというとコード進行サンプル集に近い内容となっています。
転調を使ったコード進行が50個入っていて、一つのコード進行につき見開き1ページ使って解説してあります。
各ページがどのような内容になっているかは、著作権の観点からここに貼ることはできないのですが、
Amazonの商品ページから「なか見!検索」と書かれているボタンをクリックすると見ることができます。
(Amazonアソシエイトが嫌いな人はここから商品ページに飛べます)
まず転調前後の調の関係、そしてコード進行例とディグリーネームが書かれており、基本は満たしています。
そのあと、その転調、またはコード進行に用いられているテクニックや、活用のコツが書かれています。さらにコラムも入ります。
それらの解説は、単なる転調に関する説明にとどまらず、コード進行やメロディを考える上で広く使える内容も多い印象を受けました。
例えば、カノン進行が登場した回では、「カノン進行とは?」とわざわざ解説が入れてあります。こういったところから、この本がどのような層をターゲットにしているのかが伺えます。
このように、本の内容は比較的やさしくて、丁寧だといえます。
(ちなみにボイシング例も書かれていますが、五線譜は読みたくないし、後述するCDの存在もあり使ったことがありません)
同梱されてるCDがおもしろい
この本にはCDが同梱されています。
適切なボイシングを施し、メロディをつけるなどしたサンプル曲が、本に書かれているすべてのコード進行について収録されています。
このCDはエンハンスドCDと呼ばれ、CDプレイヤーに入れれば音が聞けるし、PCに入れればMIDIデータが手に入ります。ちょっとすごい。
しかしさらにすごいのはそのサンプル曲です。
どのサンプル曲も結構完成度が高いんですよ。
どの曲も、そのコード進行がしっかり生かされていて、雰囲気が出てる!そう思いました。
つまり、この本を買うと、結構完成度の高いサンプル曲のMIDIが50個手に入るんです。これって地味にすごいことだと思いませんか。
そして僕はこのサンプル曲を普段の作曲の練習に使う方法を一つ考えてみました。
この本をしゃぶりつくすための活用方法
結論から言うと、コード進行からメロディを作る練習に使います。
事前にCDの中身をPCのどこかにコピーしておきましょう。
まずどこかしらのページを開きます。
次に、開いたページに対応するコード進行のMIDIをDAWにインポートします。この時一緒に入ってるメロディを聞かないように注意してください。
そしたら、適当なテンポを設定して、そのコード進行に合わせたメロディを、自分のセンスで書いてみます。全体の調をランダムに変えてみてもいいでしょう。
曲が完成したら、CDに入ってたサンプル曲と、自分が作った曲を聴き比べます。
落ち込みます。
落ち込むのは任意ですが、そこから何が違うのかを考え、今後に生かします。
執筆時点で、僕はこれを#1から#10くらいまで進めました。まだ効果を感じるには至ってなくて、マイナー調のメロディの書き方がちょっとわかったかな〜程度です。随時追記していきます。
いずれにしろ、この本のすべてを堪能することができる方法です。結構ボリュームあります。
転調はまだ早いと思ってても、買う価値アリ
以上のように、この本は、
作曲初心者および駆け出しDTMerの人たちも十分視野に入れた書き方がされており、
かつコード先の作曲の練習にも使えます。
ダイアトニックコードがわかった、くらいの人でも買う価値は十分あるかと思います。
リットーミュージックはやさしい本が多いのですが、この本も例外では無いと言う感じです。
微妙だと思うところ
微妙だと思うところもあったので書いておきます。
(追記アリ)マイナーのディグリーネーム表記が謎
僕はこの本のコード進行を参考にする時、Cubaseのコードトラックを使うのですが、たまに本のディグリーネームとCubaseのそれとが異なる時があります。
例えばこんなことがありました。
本の中では、Aマイナーキーで「♭VII」と書かれているので、僕はCubaseのコードパッドを見て、
はーん、VIIがGだから、♭VIIはF♯だな。と思いコードトラックにF#を入力しました。
しかしなぜかやたらと不協する。なんでや。
よくよく本を見ていると、このようになってました。
なんでAマイナーキーでGが♭VIIやねん!!!!!
おそらくCubaseかこの本が間違っているということはなく、僕が知識不足により何かを見落としてるのかと思いますが、これはどういうことなんでしょうか。
誰か教えてください~~~!
追記: コメントに丁寧な解説があります。Jinkawaさん、ありがとうございました。
目次にインターバルが書かれてない
各コード進行には、転調前後の関係を記した「属調」「短三度下」「長二度上(全音上)」といった表記があるのですが、目次にはそれがありません。
よって、「この調からこの調に自然に転調したいんだけど、何かいい方法がないかなー」といった使い方をする時には若干苦労します。
まとめ
- 転調とコード進行がセットになっており、その一つ一つに解説がなされている
- CDには適切にボイジングされ、さらにいい感じのメロディ例も付いたMIDIデータが収録されている
- ↑を利用して、コードから自分でメロディを考え、その後メロディ例を聴いて違いを楽しむ作曲練習法が楽しい
- この使い方ができるので、転調はまだ早いと思う作曲初心者も買う価値がある
正直、曲を作ってて転調がしたくなった時にこの本を活用したことは現時点ではほとんどありません笑
普通に読み物として、普段の作曲の練習の道具として、そしてまいにちDTMのお供として、ぜひ手元に置いてみてはいかがでしょうか。
コメント
⑴まずメジャーとマイナーのスケールに数字を振ります。
キーCで考えた場合、Cメジャー・スケールは
ドレミファソラシドで、数字を振ると
1 2 3 4 5 6 7
であるのに対し
Cナチュラル・マイナーは
ドレbミファソbラbシで、数字を振ると
1 2 b3 4 5 b6 b7
です。
ここまでは鍵盤で弾いてみれば一発で理解できるでしょう。
つまり、ナチュラルマイナーはメジャースケールの3番目6番目7番目を半音下げると出来上がるということですね。
ここでのポイントとしては、3 6 7番目を半音下げるとメジャーからマイナースケールになるというルールは
どのキーに移調しても変わらないということです。
⑵次に上記のCナチュラルマイナーのスケールの数字をもとに、Cナチュラルマイナーのディグリーネームを求めます。Cナチュラルマイナーのディグリーネームのルールはキーが変わっても変わらないというのがポイントです。
つまり、Cナチュラルマイナー(Cm)もAナチュラルマイナー(Am)も同じディグリーネームの順番ということです。
全キーのナチュラルマイナーのディグリーネームは、
Im
IIdim
bIII
IVm
V m
bVI
bVII
なので、7番目に注目するとbVIIとなってますね。
ImがAmならば、その7番目であるbVIIはGメジャーとなりますので、書籍は間違っていないということが分かりますね。
Jinkawa 2018-12-08 22:23
コメントありがとうございます!丁寧な解説にとても感激しております。
どの音を下げるとマイナースケールになるかはどの調でも変わらず、それはディグリーネームにおいても変わらないので、ナチュラルマイナースケールのダイアトニックコードの7つめの和音はbVIIになるということですね。
この記事を書いた当時、僕は”度”の概念についてよく分かっておらず、「スケールの構成音だけを取り出したときに音が何個離れているか」を表す数だと思っていました。ディグリーネームに関しても度数と同じ考えが適用できるということでしょうか。
また改めてディグリーネームに関する考えが深まりました。ありがとうございました。
wararyo 2018-12-18 04:02
Aから見て短7度がGなんだから♭Ⅶはどう考えてもGでしょ。なんでそっからさらに半音下げるのか……
aaa 2018-01-12 22:20