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CDマスタリングを担当したらコンピCDに曲を出す上で注意したいことが見えてきた

time 2017/11/17

CDマスタリングを担当したらコンピCDに曲を出す上で注意したいことが見えてきた

単体曲マスタリングではわからないことがいくつか見つかりました。wararyoです。

先日、人生で初めて、CD一本まるごとマスタリングする機会がありました。
14曲、45分ほどのCDです。

コンピCD「Qweet」のマスタリングをしました

マスタリングする過程で、いくつか悩んだ点・てこずった点があり、
その中から自分がコンピCDに出す側になった時にも役立つだろう教訓がいくつか見えてきたので、それを記しておきます。

目次

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CDマスタリングでつまづいたところ

音量合わせに苦労した

曲の間の音量合わせに苦労しました。
今回はコンピCDのメンバーには2mix 32bit(float) wavファイルで提出してもらったのですが、2mixの音量はもちろん曲によってまちまちです。なのでマキシマイザーのthresholdは一定にするわけにもいきません。

これを見たあなたはこう思ったかもしれません。

RMSとかラウドネス(LUFS)とか便利な指標があるんだからそれ見ればよくね?

僕も最初はそう思ってました。ただそうもいきませんでした
というのも、同じラウドネス値でもどう聴いても音量が違う時があったんです。

今回僕は、それぞれの曲のトラックにマキシマイザーを挿し、
曲の一番盛り上がるところの平均ラウドネスが-7.0LUFSになるようにthresholdを調整しました。
しかし…音量が全然違う。
具体的には、チップチューンなどのシンプルな音色から構成される曲は大きく、
常に圧倒的な音が降り注ぐコア系の音楽は小さく聞こえました。

結局どうしたかというと…自分の耳を信じて調整しまくりました。だいたい0.2db単位で練りました。
-7.0LUFSを示した時のthresholdから±1.0dbほど変えてる曲もあります。

自分の耳があってるのか不安なままCDを頒布しましたが、文句言ってる人は見当たりませんでした。よかった…

音質合わせに苦労した

音質も思いの外曲ごとに違うことに気づきました。
音質とは具体的には、周波数分布、ダイナミクスレンジ、リバーブの感じや曲全体の音量差などです。

スペアナで大体の周波数分布を合わせた音源同士でも、聴いた感じが明らかに違う時があるんですよね。
ここをなんとかするのがマスタリング師の腕の見せ所なんでしょうが…僕もまだまだです。

結局、曲の本来の質感を尊重しようとかなんとか理由をつけて、音質合わせはある程度妥協しましたorz

質の悪い音源に苦労した

音質合わせに特に苦労した曲がいくつかありました。それは、明らかに劣悪な音源を使ってる曲です。
もう言っちゃいますが一番やばいと思ったのはStudio Oneの音源であるPresenceに入ってるドラム音源です。

もう、高音がほぼ「存在しない」んです。シンバルがやばい。あえてローパスフィルターかけてるのかな?って感じでした
サンプリング時間もめちゃ短い。シンバルなのに。Microsoft GS Wavetable SW Synthくらいかな。
あとキックの低音成分もかなり乏しい。
(追記:あくまでPresenceにいくつか搭載されている音色のうちの一つかと思われます。Presenceそのものを批判する意図はありません)

そのドラムが使われた曲は他のパートも高音が欠けてたので、頑張ってわずかに存在する高音をめちゃめちゃ上げました。
一方低音はブーミーだったし、もう気になる周波数を調整しまくってたらEQとかこんな感じになってました。

これにさらにマルチバンドコンプレッサーでもめちゃめちゃ上げてます。
ちなみに他の曲と合うくらい高音上げたらやたらシャワシャワしたので少し妥協してます。

フェードアウトに戸惑った

曲が14曲も集まれば、フェードアウトで終わる曲もいくつか出てきます。

そこで気になったのが、曲によってフェードアウト時間に結構差があるということです。
さらに音の小さくなり方にもいくつか種類が考えられます。要するにフェードアウトは鬼門だということがわかりました。

もしかしたらフェードアウトをするときは曲を出す人にはフェードアウトの処理をさせず、マスタリングをする人が全部やった方がいいのかもしれません。

また、フェードアウトは複数ある曲の終わり方でも最も簡単な終わり方なので、思いの外多用されがちなのかもしれません。コンピCDを企画する際にはぜひフェードアウトにお気をつけください。

書き出しに苦労した

私はマスタリングをするソフトウェアとしてCubaseを使ったのですが、CubaseはCDマスターをするソフトウェアではありません。当然、複数曲を一気に書き出しする機能もありません。

今回は一曲1トラックとして1つのプロジェクトに曲を配置し、stemミックスを書き出す要領で各トラックを書き出しました。
そうすると書き出したファイルの長さは全てCDの中で一番長い曲になるので、1曲1曲音声加工ソフトでトリミングしました。

CDマスタリングやりたかったらWaveLab買えってことですかね。今回ばかりはStudioOneがうらやましくなりました。

Cubase使いの皆さん、注意してください。

コンピCDをマスタリングするときに注意したいこと

クリップに気をつけよう

コンピCD参加者から送られた音源がクリップしていたら、相手にもう一回書き出すようお願いしなければなりません。
32bit(float)で書き出すように、あるいは絶対にクリップしないように事前に伝えておきましょう。

音量合わせに気をつけよう

RMSやLUFSなどの指標を使ってピッタリ合わせても、曲によって音量差があるように感じることがあります。
自分の耳を信じるのがいいようです。

フェードアウトに気をつけよう

フェードアウトのやり方は人によってまちまちです。もし可能ならば、参加者ではなくマスタリング師であるあなたがフェードアウト処理をやった方がCDがより良いものになると思います。

CDDBに気をつけよう

上記では述べてないですが、CD自体に曲名情報を埋め込む規格はなぜか廃れてしまい、現在ではネットから取ってくるのが一般的になっています。
iTunesなどのソフトを使って、CDの曲名などの情報をネットに登録しときましょう。

コンピCDに曲を出すときに注意したいこと

クリップに気をつけよう

主催者やマスタリング担当に言われなくとも、参加者の側からもクリップしないように心がけることが大事です。

安易なフェードアウトに気をつけよう

あなたが出す曲以外の曲も軒並みフェードアウトで終わってる事だって考えられます。俺はフェードアウトしないぞ!という意志で曲を作ると他の曲と差をつけることができるかもしれません。

ミックスまではちゃんとやってあげよう

マスタリングは魔法ではないので、楽器の音量バランスまでは変えることができません。
マスタリング師に無駄な苦労をかけないように、フェーダーワーク(音量バランス調整)だけでもいいのである程度しときましょう。

質の悪い音源はできるだけやめてください

フェーダーワーク以前に、音源の質が悪かったらその時点でマスタリング師は頭を抱えます。
EarPodsや980円のイヤホンで作業してると自分の持ってる音源がどのような音なのかわかりづらいので、普段からイヤホンやヘッドホンは一定以上のものにしましょう。


いかがでしたか。

色々と言ったので「コンピCDに出すのこわ…やめとこ…」と思われるかもしれませんが、出さないことには自分の音源やミックスがどうだなんてわかりません。どんどん出して、どんどんマスタリング担当を困らせてもいいんじゃないでしょうか。

といいつつ、僕もこれといってコンピCDに曲を出した経験はありません…これからちょくちょく出していきたいですね。共にがんばっていきましょう。

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