wararyo SoundWorks

趣味でDTMをする社会人が自身の経験と成長を記録していました。現在はアーカイブとして残しています。

「ルミナスステップ!」の制作と「ボカコレ」への参加で学んだこと

time 2025/09/15

日々を楽しんで生きていこう!

新しい場所で頑張る女の子を描いた、アップテンポなダンスミュージック「ルミナスステップ!」を作りました。
この記事では、ルミナスステップ!の制作で気を付けたことや学んだことを述べていきます。

この楽曲は2025年夏開催のThe VOCALOID Collection、通称「ボカコレ2025夏」にルーキー枠として参加しました。
ボカコレに初めて参加した感想も併せて語っていきます。

曲: wararyo 
絵: まむ酸 @mamuacid

動画: wararyo
ロゴ: wararyo

「普通に良い曲」を作りたかった

私wararyoは2022年にSeashore Sceneryを公開してからは作曲をしばらくお休みし、
その間は電子楽器の CapsuleChord の開発を主に行っていました。

CapsuleChordは作曲家、トラックメーカー、DTMerを主なターゲットとした楽器です。
開発を進めるうちに、いくつかの気づきを得ました。

  • 私自身が曲を作る感覚を忘れつつある
  • DTMerの知り合いが少なく、CapsuleChordの操作感を決めるにあたって意見を聞ける人がいない
    • 作曲関連の人と関わっていくにあたって、自分の「名刺」となる曲が欲しい
  • CapsuleChordの機能に関する動画を今後挙げていくにあたって、自分が原盤権を持っていて好きにできる楽曲が欲しい

そこで久しぶりに曲を作ることにしました。
単純に作りたい欲が溜まってましたしね。

そして作るなら、リハビリを兼ねて「普通に良い曲」を作りたい。
そのように考えて完成したのが「ルミナスステップ!」です。

初の「ボカロ曲」

私がこれまで作ってきた曲はすべてインストか、生身の人間によるボーカルの入った曲かのどちらかでした。
仮歌、ボツ曲、世に出なかった曲を除くと、人生初の「ボカロ曲」となります。
正確には音声合成ソフトウェアとしては”VoiSona”を用いているのでボカロではないのですが、便宜上ボカロ曲を呼ぶことにします。
ボイスには「雨衣」(ういと読みます) を用いました。

雨衣は本当に声が良くて、一度聴いた時から雨衣で曲を作ってみたいと思いました。
実際に触ってみるとベタ打ちでも人間っぽい歌声が出てきて驚きましたね。
VOCALOID V2時代のいわゆる「ボカロ」の感じももちろん嫌いではないのですが、
私の初のボカロ曲として捉えたときにはこの「ボカロじゃなさ」が嬉しかったです。

生身の人間によるボーカルより良いところとして、タイミング合わせにあまり時間を要しなかったのは助かりました。
一方で、生身の人間のこういう歌い方を再現したい!と思った時にはどうしても限界を感じるシーンがいくつかありました。

例えば「心に根差したセピア色の淡い陰が重くて引きはがせない」の「引きはがせない」はちょっと困った感じの声で歌って欲しかったのでいろいろと調節したのですが、残念ながらうまく表現できずほどほどの所で手を打つことになりました。

歌詞は語感重視

ルミナスステップは「新しい街」に来たばかりの女の子の成長のお話です。
お友達になりたい人を見つけるものの、昔の苦い経験が思い起こされてどうもアプローチが取れない…
そんな悩みを乗り換えて、素直に自分の気持ちを表現すれば意外と簡単に距離を縮められることに気づきます。

このお話はあくまでフィクションですので、現実はここまで上手くいかないし、単純ではないかもしれません。
とはいえ、結構共感してもらえる歌詞なんじゃないでしょうか?

同人の音楽を聴くような方の中には交友関係を広げることに悩みを持つ人は多い気がしてます(偏見)
みんなが持つ悩みをキャッチーに表現した歌詞にできたと思うんですが、実際のところは分からないですね…

語感や韻にもかなり気を遣いました。

サビは特定の音楽的なまとまりが2回繰り返されますが、そこで韻を踏んでます。

サンサンな夢を詰め込ん あいまいな思いの壁飛び越えれ
聞こえる?七色のフーズ 探検しよう 坂道の向こうで

1回目のサビと2回目のサビで語尾をそろえてます。

サンサンな夢を詰め込ん あいまいな思いの壁飛び越えれ
案外気持ちは目の前 共鳴してるリズムを見つけ出せ

1回目のサビ後のセリフでも韻を踏んでます。

それでも不安は拭えなく
一度は勇気を出せたからっ
慣れない笑顔はまだつぼ
「またしても後戻?」

これ以外にも要所要所で韻を踏んでます。

ここまでしっかり歌詞で語感を韻を重視できたのは初めてなので、シンプルに満足しています。
強いて言うならば、もう少し「バカっぽい」歌詞にしてみたかったですね。
変な造語や擬態語をもっと組み込んでみたかったです。

作詞にあたってはGemini 2.5 Flash、Claude Sonnet 4、Gemma 3 4BなどのAIの力を借りようとしましたが、結局どれもほとんど使えませんでした。
日本語の韻を全然考慮してくれなかったんですよね…なんかいい方法があったのかな。
ほとんど歌詞が完成しきった後の最後のブラッシュアップには多少役立ちました。

なお、歌詞中に「影」と「陰」、「思い」と「想い」が混在していますが、これは意図的なものです。

作曲・アレンジでも「普通に良い」を意識

結構「強い」EDMが作れました。

ジャンルとしてはFuture Houseのつもりで作り始めたのですが、出来上がってみるとFutureでもHouseでもない何かになりましたね笑

リファレンスとして何回も聴いて参考にした曲は5つ程度あります。
特にYunomiさんの曲は強く参考にしていて、「今作ってるサウンドはYunomiっぽいか?」と自分に問いながら制作を進めました。
結果としてはどうなんでしょうね…?
多少は「Yunomiっぽさ」を達成できてそうですが、パーカッションや効果音の賑やかさ、心地よさがYunomiさんの楽曲からすると圧倒的に不足しており、やっぱ凄いな…と思う次第です。

ルミナスステップは「普通に良い曲」を目指しているため、アレンジではあまり突飛なことをしないように気を遣いました。

  • 無難なコードを主に用いる(III7→VIm7→Vm7→I7のようなドラマチックすぎる展開、augのような強烈な音はできれば控える)
  • 無難な音を主に用いる(音割れ、ガバキック、ワブルベースといった邪悪な印象を与える音は避ける)

セリフパート

ただし、一つ初めての試みがありました。
それが「セリフパート」の導入です。1回目のサビ終わり直後にある「それでも不安は─」の部分です。
ルミステ制作中に公開された楽曲「ひっひっふー」に影響を受け、セリフパートがあったら飽きを防げるのでは!?と思い至りました。
結果として、これは本当に入れてよかったです。

反省点

反省点として、本当はオブリガードも書きたかったです。オブリガードは副旋律、サブメロディ、合いの手的な立ち位置のパートですね。以前からオブリが苦手で、今回はしっかりチャレンジしてみたかったんですが、残念ながら時間が足らず、といった感じです。

あと言及しておきたい反省点としては、ティンバレスを使いすぎました…
何らかの効果音に置き換える予定でとりあえず仮で配置したティンバレスがいくつかあったんですが、こちらも時間がなくてほとんどがそのままになってしまいましたね…

「普通に良い曲」のメリット、そしてデメリット

「普通に良い曲」を作ったことでリア友からはウケが良かったです。
特にボカロを普段聴かない友達からのウケが良かった。

人間っぽいボーカルと、鬱屈としていない歌詞…
これらを採用したおかげで、リア友に堂々とこの曲の話をすることができました。

一方で後述するボカコレにおいては、没個性的な特に印象に残らない曲として処理されてしまった可能性が高いです。
リア友は「wararyo君が作った曲」という前提で聴くので心に残してくれるのですが、赤の他人に聴かせるにあたってはそれ以外のフックが必要になりますね。

MVは最小限の手間でリッチ感を演出

今回は動画も自分で制作しました。

絵だけはどうしても描けないので、毎度お世話になっているまむ酸に今回も描いてもらいました。
ありがとうございます!


まむ酸のXより

高解像度で描いてほしいとお願いしたところ、ポスターに印刷できるほどの高解像度で描いてくれました。
おかげで、After Effects上でスケールを100%以上に拡大することなく4K動画を作成できました。本当に感謝!

MVの制作には主にAfter EffectsとBlenderを用いています。
Blenderで偶然にも綺麗なガラス表現ができましたので、これを積極的に用いていくことにしました。

Blenderで作成したガラス風表現

プリズムをイメージした三角柱をジオメトリノードで散りばめています。ジオメトリノード本当に便利。

ひっひっふー」のMVが全編Blenderで作られたという話を聞いたので、試験的にセリフパートだけBlenderで作ってみることにしました。
まだ慣れないですが可能性を感じますね。

ガラス表現のおかげで、比較的少ない作業時間でリッチさを出せたのは良かったです。
レンダリングに時間はかかりましたが、レンダリングは放置しておけば終わりますからね!
デスクトップPCでレンダリングを回しておきながら、ノートPCで次にレンダリングを回す部分の制作を行う、というワークフローでした。

「ボカコレ」初参加で直面した現実

この楽曲は2025年夏開催のThe VOCALOID Collection、通称「ボカコレ2025夏」にルーキー枠として参加しました。

このイベントはニコニコ動画上で開催されるもので、一般の方の視聴やいいね、コメントによってランキングが決まります。

参加してみて…体験するまで知らなかったことが本当にいくつもありましたね。

まず始まる前から一つ失敗をしてて、ニコニコ動画の予約投稿機能を用いて事前に投稿しておくべきだったようです。
これはボカコレ参加曲を「投稿日時が古い順」で並び替えて聴く人が一定数居るためで、
最初に聴く曲=早くに投稿された曲が新鮮に聴こえやすく伸びやすいという理屈のようです。
本当に先頭に並ぼうと思ったら一ヶ月前に予約投稿しておいた方が良いらしく、一時間前に動画のエンコードを始めた自分はもうその時点で出遅れていたということになります。

巡回という文化

しかし、更に重要で、でもこれまで全く知らなかった文化がありました。それが「巡回」です。

ボカコレ期間中にTLを眺めていると、#ボカコレ2025夏巡回 というハッシュタグがあるのに気づきました。

巡回…?なんだそれ?そう思って特に何も考えず、自分もそのハッシュタグで投稿してみました。

するとどうでしょう…!どこからやって来たのか分からない参加者からのオススメがめちゃくちゃ届いたんです。

どうやら、自分の曲を聴いてほしい楽曲投稿者の中には、このハッシュタグが入ってるツイートを定期的に調べては自薦を行っている方が一定数いるみたいです。
それは決して「そうでもしないと再生されない可哀想な人」がやっているわけではありません。
私にオススメをしてくれた方の数名がランキングトップ100入りしていたことはこのことを如実に示しているかと思います。

このイベントは、「聴きたい」人より「聴いてほしい」人のほうが圧倒的に多いのだろうとは思っていましたが、聴いてほしい人の中にはこんなに泥臭い形で努力を重ねている人が居るとは想像していませんでした。

目標に向かって営業を厭わない姿勢はカッコいいと思いましたし、そこまでする世界なのか、ボカコレは…!とも思いました。

でも、ランキングや再生数は一旦置いといて、ボカコレ参加者同士の交流、良かったですね…
いろんなDTMerの作品を聴けて、しかも感想をリプライで送れる、豊かな時間でした。

次にボカコレに参加するときは、自薦する側に回りたいです。
スパムアカウントに認定されてしまうリスクがあるらしいので、そこだけ警戒しながら…

ルミステはAtmos対応し、wararyoは電子楽器の開発に戻ります

サブスク配信は今年中?

今後の予定として、ルミナスステップ!のサブスク配信を考えています。
すぐに配信できない理由として、「Dolby Atmos化して配信したい」という思惑があります。

Dolby Atmosはいわゆる「空間オーディオ」の代表的なフォーマットで、Apple MusicとAmazon Music Unlimitedがこれに対応しています。

(豆知識:普通、日本で同人音楽をやる人はTuneCore JapanやBIG UP!を通してサブスク配信しますが、Dolby Atmos楽曲の場合はAvidPlayというディストリビューターを経由することが多いようです。)

ルミステもぜひ、Dolby Atmos対応楽曲としてリリースしたいと考えています。
つまるところ、もっと魅力的な曲にしてからサブスク配信したいということです!

Dolby Atmos向けミックスには時間がかかるため、リリースも少し時期が遅くなる予定です。今年中リリース目標で考えてます。

wararyoが次に曲を作るのは早くとも1年後

wararyoは今後、電子楽器 “CapsuleChord” の開発に戻ります。

2026年前半にCapsuleChord 2を1台以上販売することを目標に進めていますので、正直時間がありません。

次に曲を作るのは早くとも1年後になる予想です。
ボカコレルーキー枠の参加資格を失う前、つまり2027年8月までにはもう一曲作りたいですね。

ルミステで得た経験を基に、今度はもうちょっと技巧を凝らして、視聴者を引き付けるフックを作って、それでいて前もって予約投稿して、自薦もしっかり行って…
その時が楽しみです。

\シェアできます/

down

コメントする






最近の投稿